鋼構造物の現場組立、架設および現場溶接

11-1 適用範囲
直接列車荷重を支持する鋼構造物(複合構造物を含む)の現場組立、架設および現場溶接に
適用する。なお、工事桁(かんざし桁・仮橋脚を除く)についても適用する。
11-2 施工計画書
鋼構造物の現場組立、架設および現場溶接にあたっては、次の事項を記載した施工計画書を
あらかじめ届出て、承諾を受けること。
(1) 施工体制
(2) 施工方法
(3) 施工工程
(4) 使用機械の性能、数量
(5) 重要な仮設物の構造及び応力計算
(6) 架設に伴う応力計算
(7) 品質管理計画
(8) 安全対策
(9) その他
11-3 施工管理者
鋼構造物の組立、架設および現場溶接にあたっては、十分な専門知識と実務経験を有する施
工管理者を配置すること。その際の実務経験年数は、営業線近接工事では5 年以上、その他の
場合は2 年以上とする。なお、現場溶接を行う場合の施工管理者は、「11-8-2 現場溶接施
工管理者」を兼ねることができる。
11-4 鋼構造物の組立
(1) 鋼構造物の取扱いは、次によること。
ア) 取扱の際、部材を損傷させないこと。
イ) 組立順序を考慮すること。
ウ) 部材を直接地上に置かないこと。
エ) 水の溜まらない状態に置くこと。
(2) 組立は、水平で丈夫な受台または足場上で捩れ、傾斜などがなく、所定の反りを保たせて
行うこと。この場合、特に転倒防止の措置を行うこと。
(3) 組立において、仮締めボルトとドリフトピンとの合計は、連結部の高力ボルト孔一群ごと
にボルト数の25%以上(ただし、腹板は15%以上)を標準とし、そのうち5%以上はドリ
フトピンとする。また、架設工法や使用する仮締めボルトの種別により仮締めボルトを高力
ボルトの摩擦接合等に変更する場合は、検討結果をあらかじめ届け出て、承諾を受けること。
高力ボルトの締め付けは、連結部の接合状態を確認した後、行うこと。また、高力ボルト
孔は、ドリフトピンによって拡大、損傷させないこと。
(4)組立完了後、形状、寸法を測定し、その結果を提出すること。
(5)やむを得ず本体に削孔または溶接の必要が生じたときは、あらかじめ承諾を受けること。
11-5 鋼構造物の架設
(1) 鋼構造物は、所定の位置に据付けること。
(2) 移動は、移動機器の構造、性能等に留意し、桁に損傷を与えないこと。また、逸走防止対
策を施すこと。
(3) 特に、指定された場合は、所定の時間に架設を完了するものとし、その順序、方法および
機械器具類はあらかじめ承諾を受けること。
(4) 天候の異常等、架設に著しい支障を与える恐れのある場合は、適切な処置を講じるととも
にすみやかに報告すること。
(5) 扛上または降下にジャッキを使用する場合は、次によること。
ア) ジャッキ台は堅固に、かつ、水平に据付けること。
イ) ジャッキは、必ずジャッキ受のある位置で使用すること。
ウ) 鉛直方向の移動高さに注意し、桁下端と仮受台との隙間をなるべく小さくすること。
エ) 桁の左右は、常に水平に保つこと。
オ) 桁の両端で同時に扛上または降下をしないこと。
(6) トラスを跳ね出し工法で架設する場合は、次によること。
ア) トラベラクレーンの移動は、本締めを完了した後に行うこと。
イ) 主構部材の組立は、ねじれ高低に注意し、1 パネルごとに整正すること。
(7) クレーンを使用して架設する場合は、次によること。
ア) 作業を始める前に機械各部の点検を行うこと。
イ) クレーンを支持する地盤は、所要の地耐力を確保すること。
ウ) 相吊りにより架設する場合は、荷重を均等にし、振れ止めを行うこと。
(8) 横取り工法により架設する場合は、次によること。
ア) 横取りの支点は、移動方向に一致させ、移動は同時に行うこと。
イ) 横取りは、原則として水平か多少上り勾配で行うこと。
(9) 縦取り工法により架設する場合は、次によること。
ア) 手延機は、平地上で前後、左右を正しく組立、桁の主桁中心と合わせて取付けること。
イ) 引出し作業中は、主要な段階で安全を確認すること。
11-6 ボルト工

11-6-1 高力ボルト

(1) 高力ボルトに関しては、「10-9 ボルト継手」によること。
(2) 締付け作業に先立ち、次により現場予備試験を行い、その結果を報告する。
ア) 現場予備試験は、その日に使用するセットの全製造ロットのうち、一つの製造ロットか
ら5 組の供試セットを選んで行い、供試セットの締付けボルト軸力の平均値は、セットの
温度が常温(10℃以上~30℃以下)、あるいは常温以外(0℃以上~10℃未満、30℃を超
え~60℃以下)で締付けた場合、表10-15 に適合しなければならない。
イ) 現場予備試験に使用する軸力計は検定を行いその結果を報告すること。検定の頻度は、
現場搬入時に1 回、搬入後は3 カ月に1 回を標準とする。また、軸力計は測定しようとす
る軸力の範囲において、基準となる計測機器が示す値の±3%以内の値を示すものとする。
ウ) ボルトの締付けは、「1 次締め」と「本締め」の二度締めとし、管理シートにより作業
管理を行い施工後これを報告すること。なお、管理シートの内容は次による。
ア 継手部材材片接触面の損傷、浮き錆、汚れ、油等が無いか。
イ ボルトの本締めは専用締付機で行っているか。
ウ ボルトの1 次締め軸力(締付け軸力の60%程度を標準)と、1 次締め完了後のボルト、
ナット、座金および部材のマーキング状況。
エ ボルト群の締付け順序。中央から順次端部のボルトに向かって行うこと。
オ 現場締付け時におけるセットの温度(鋼材の表面温度で代用できる)。0~60℃の範
囲で行う。また、降雨、降雪時は、ボルトの締付け作業を行わない。

11-6-2 普通ボルトの締付けは次による。

(1) 普通ボルトの締付けにあたっては、必要な塗装を行う。
(2) 接触面を清掃し、主要部材には座金を用いる。
11-7 支承およびアンカーボルト
(1) 支承の据付け位置は、施工時の気温を考慮して決定すること。
(2) 支承およびアンカーボルトは、所定の位置に据付けること。
(3) 下部構造との固定およびアンカーボルトの埋込みは、無収縮モルタルを使用すること。
(4) ゴム支承は、水平力に容易に変形しやすいので、水平力が作用しないように据付けること。
(5) 可動支承のアンカーボルトのナットは支承の可動機能を阻害させないように締め付けるこ
と(ダブルナットを使用する場合は「付属書11-1」によること)。

11-8 現場溶接

11-8-1 本項で規定しているほかは、「10-10 溶接継手」によること。
また、溶接部の強度の特性値を低減しない場合は、溶接工の資格、開先部の組立精度、溶接
部の品質についても、「10-10 溶接継手」によること。
11-8-2 現場溶接施工管理者
鋼構造物の現場溶接に関し、日本溶接協会規格 WES 8103(溶接管理技術者認証基準)の溶
接管理技術者2 級以上の資格を有する現場溶接施工管理者を常駐させること。
11-8-3 溶接工の資格
(1) 溶接工の資格は、表11-1 によること。なお、現場溶接に従事する溶接工は、1 年以上溶
接工事に従事した者とする。

(2) 極厚板または複雑な形状等の溶接がある場合には、(1)の有資格者により別途技量確認
を行い、承諾を受けること。
11-8-4 溶接機器類
(1) 溶接機は、十分な容量をもち適正電流で安定したアークを正常に発生供給し得ること。
(2) 溶接機には、事故防止のため電撃防止装置を取付けること。
(3) 溶接機は、リモートコントロール付きのものを使用すること。
11-8-5 作業管理
現場溶接の施工にあたっては、管理シートにより作業管理を行い、施工後これを報告するこ
と。なお、管理シートの内容は次によること。
(1) 溶接種別およびサイズ
(2) 溶接方法
(3) 環境条件(日時、天候、気温、湿度、風速等)
(4) 溶接施工管理者および溶接工
(5) 溶接条件(開先、予熱温度、電流、電圧、溶接所要時間、速度、溶接順序等)
(6) 外観検査の結果
(7) 非破壊検査の結果
(8) 手直しの記録
11-8-6 予熱
(1)予熱は溶接線から両側各 100mm の範囲を「10-10-3 主要部材の組立用溶接(3)」に示
す温度になるように行うこと。
(2) 予熱温度は溶接線から50mm の位置で表面温度計または温度チョークによって確認するこ
と。
(3) ガスにより予熱する場合は、結露に注意すること。また、開先部分は極力さけること。
11-8-7 開先部の組立精度
開先部の組立精度は、表11-2 によること。
なお、これによりがたい場合は、その処置について承諾を受けること。

11-8-8 拘束治具
(1) やむを得ず拘束治具を取り付ける場合の溶接は、本溶接に準じて行うこと。
(2) 拘束治具の取りはずしは、本溶接終了後とすること。ただし、多層盛りでやむを得ず拘束
治具を取り外す時は、原則として強度照査の上取り外すこと。なお、取り外しは最低でも溶
接が全量の1/2 以上終了した後とすること。
(3) 拘束治具を切断して取り外す場合は、取付けの溶接から10mm 程度離して切断し、グライ
ンダー仕上げを行うこと。
11-8-9 裏当材
(1) 裏当金の材質は、SM400 以上の材質とする。
(2) 裏当金の溶接は、本溶接に準じて行うこと。
(3) 裏当材に鋼材以外のものを使用する場合は、原則として施工試験を行い、溶接条件、品質
等を確認すること。
11-8-10 溶接変形
溶接により母材に変形が生じた場合は、その処置について承諾を受けること。
11-8-11 溶接部の品質と検査
(1) 溶接部の品質の判定は表11-3 によること。

(2) 主要部材の突合せ溶接継手の非破壊検査は、「10-10-14 溶接部の試験および検査(2)
①」によること。なお、放射線透過試験が公衆災害防止上困難な場合、超音波探傷試験によ
り行ってもよい。
ア) 試験方法、検査率および合格基準は、表11-4 によることを原則とする。なお、浸透探
傷試験については、設計図等に示された場合に適用すること。
イ) 放射線透過試験および検査は、「10-10-14 溶接部の試験および検査 (2) ③」に
よること。
ウ) 放射線透過試験に従事する技術者は、「10-10-14 溶接部の試験および検査 (2)
④」によること。
エ) 超音波探傷試験および検査は、JIS Z 3060「鋼溶接部の超音波探傷試験方法」および
JIS Z 3070「鋼溶接部の超音波自動探傷方法」によること。
オ) 超音波探傷試験に従事する技術者は、「10-10-14 溶接部の試験および検査 (2)
⑥」によること。
カ) 検査終了後は直ちに検査報告書を報告すること。
キ) 検査の結果、不合格となった場合は、その処置について承諾を受けること。また、補修
を行った後は再度検査を行うこと。

11-8-12 溶接施工試験
特に指定された場合は、施工計画書の施工方法に反映するため、現場溶接に先立ち次により
施工試験を行うこと。
(1) 溶接施工試験要領書を届出て承諾を受けること。
(2) 溶接施工試験終了後は、すみやかに溶接施工試験報告書をもって報告すること。
11-9 防水工、接合工
(1) 防水工、接合工の施工にあたっては、止水性、排水性等に十分留意し、材料、構造、施
工方法を定め、あらかじめ施工計画書により承諾を受けること。
(2) 防水工は、原則として、工事が完成後、しゅん功検査までに、受注者の責任に帰する防
水に対する品質保証期間を保証書により報告すること。
(3) 防水に対する品質保証期間は10 年以上とし、品質保証期間の起算日は工事目的物の引渡
し日とする。
(4) 保証対象は、地上部の鋼構造物(鋼床版)の防水工とする。
11-10 主要部材への付属物の取付けおよび除去
(ア) 主要部材に吊金具、架設用治具などを溶接で取り付ける場合は、「11-8 現場溶接」に
よること。
(イ) 吊金具、架設用治具を除去する場合、母材に悪影響を与えないように除去すること。なお、
完全に除去する場合には母材表面を削り込まないよう注意すること。なお、部分的に残存さ
せた場合にはその切断面を平滑に仕上げること。
11-11 現場塗装
現場塗装は「13 塗装工」によること。
11-12 施工記録
次の資料をすみやかに報告すること。
(1) 「11-8-5 作業管理」に規定する資料
(2) 高力ボルト検査報告書
(3) 高力ボルト締付検査報告書
(4) 塗料検査報告書
(5) 塗装検査報告書
(6) その他必要な検査報告書
11-13 工事写真
次の項目が確認できる写真を報告すること。
(1) 現場組立後の検査状況
(2) 高力ボルト締付け検査状況
(3) 現場溶接検査状況
(4) 非破壊検査状況
(5) 塗料の購入量および使用量に関する検査状況
(6) 塗装検査状況
(7) 施工試験を行った場合には施工試験状況
(8) 各作業段階ごとの状況(一次締めおよび本締めのボルト締付け、溶接、架設)

 

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