一般鋼構造物の製作・運搬・建方

12-1 適用範囲
列車荷重を支持しない一般鋼構造物(乗換こ線橋、自由通路、桁式ホーム、橋側歩道、簡易
鋼構造物等)および鋼製重要仮設物(かんざし桁と仮橋脚を含み、工事桁を除く)等の工場製
作・運搬ならびに現場建方に適用する。
12-2 施工計画書
一般鋼構造物の製作および現場建方にあたっては、次の事項を記載した施工計画書(製作要
領書)をあらかじめ届出て、承諾を受けること。ただし、軽微な工事については監督員の承諾
を得て、省略することができる。
[工場製作]
(1) 施工体制
(2) 品質管理方法
(3) 材料および部品
(4) 製作方法(原寸、溶接、孔
明け方法、組立等)
(5) 製作工程
(6) 購入品
(7) 製作精度
(8) 運搬
(9) その他
[現場建方]
(1) 施工体制
(2) 施工方法
(3) 施工工程
(4) 品質管理計画
(5) 使用機械の性能、数量
(6) 重要な仮設物の構造及び応
力、変位等の計算
(7) 架設に伴う応力計算
(8) 安全対策
(9) その他
12-3 材料
(1) 材料の材質は、特に指定された場合を除き、JIS 規格品を使用すること。
(2) 使用鋼材は、加工に先立って汚れを落とし、歪み取りを行うこと。
また、表面傷、はなはだしい錆等有害な欠陥がないこと。
(3) 接合材料の選定にあたっては、溶接棒の銘柄およびワイヤーとフラックスの組合せについ
て確認すること。
12-4 原寸およびけがき
製作に着手する前に、原寸図またはそれに準ずるものを作成して原寸検査を実施し、設計図
の訂正が必要になる事項については届出て、その処置について承諾を受けること。

12-5 切断
(1) 切断および切削にあたっては、表12-1 によること。

(2) ガス切断またはせん断による歪みは、修正すること。
(3)部材を組立てた後に自由縁となる切断面の角は、半径1.0mm 程度の丸みをつけるか、また
1.0mm 程度の面取りをすること。なお、長期耐久型塗装系を用いる部材の自由縁は、半径
2.0mm 程度の丸みをつけること。
12-6 曲げ加工
冷間曲げ加工を行う場合、内側半径は板厚の15 倍以上を原則とする。
12-7 ボルト継手
12-7-1 ボルト孔
(1) ボルトの孔径は、設計図で指定された場合を除き、呼び径20mm 以上の場合はその呼び径
に2.5mm を加えたものとし、呼び径16mm 以下の場合は、その呼び径に2.0mm を加えたもの
とする。
(2) 孔の形状は円筒形で、その軸は設計図で指定された場合を除き、部材の表面に直角とし、
その角度の許容傾斜量は、1/20 以下とすること。
(3) ボルト孔は、ドリルで規定の寸法で開けるか、ドリルで先孔を開け、材片を組合せた後、
リーマ通しを行い規定の寸法にするかまたは、あてもみ工法とすること。ただし、厚さ12
㎜未満の板厚についてはパンチで開けてもよい。
(4) 孔開けによって孔の縁に生じたまくれは削り取ること。
(5) 孔周辺の浮出しロールマークは、取り除くこと。ただし、普通ボルトを使用する場合は、
この限りではない。
(6) ボルト孔の寸法の許容差は、設計図で指定された場合を除き、+1 ㎜とする。ただし、ボ
ルト群20%の孔に対して+2 ㎜とする。
12-7-2 普通ボルトの締付け
普通ボルトの締付けにあたっては、材片の接触面および表面を清掃の後締付けること。締付
ける側には座金を用いること。
12-7-3 トルシア形高力ボルト
トルシア形高力ボルトを使用する場合は、製作については「10-9 ボルト継手」によるこ
ととし、建方については「11-6 ボルト工」によること。
12-7-4 摩擦接合用高力ボルト
摩擦接合用高力ボルトを使用する場合は、製作については「10-9 ボルト継手」によるこ
ととし、建方については「11-6 ボルト工」によること。
12-8 溶接
12-8-1 組立
(1) 組立に際しては、原則として異材を母材に仮付けしないこと。また、補助治具を利用する
などして無理のない姿勢で組立溶接ができるようにすること。
(2) 材片の組立精度は、溶接部の応力伝達が円滑で、かつ、溶接不良を起こさないものとする。
(3) 開先溶接を行う場合の材片の組合せ精度は、次の値を標準とすること。
ア) ルート間隔の誤差 :規定値±1.0 ㎜ 以下
イ) 板厚方向の材片の偏心 :薄い方の板厚の 10%以下(板厚t≦50mm)
5mm 以下(板厚t>50mm)
ウ) 裏当金を用いる場合の密着度 : 1.0 ㎜以下
エ) 開先角度 :±5°
(4) すみ肉溶接の材片の密着度 :1.0 ㎜以下
12-8-2 部材の組立用溶接
(1) 組立用溶接は、長さ50 ㎜以上を標準とし本溶接と同様の方法を適用し、本溶接箇所に施
工すること。
(2) 組立用溶接にあたっては、必要により予熱を行うこと。
(3) 組立用溶接に割れが生じた場合には、健全な溶接部に達するまでその部分をはつり取り、
必要に応じて再度組立溶接を行うこと。
12-8-3 作業一般
(1) 工場溶接に用いる溶接法は、原則として被覆アーク溶接、サブマージアーク溶接および炭
酸ガスシールドアーク溶接とすること。
(2) 工場溶接は、原則として屋内で行うこと。
(3) 溶接面および隣接部分は、溶接に先立ち水分、錆、スラグごみなどを取除くこと。
(4) 溶接に際しては、組立治具および組立用溶接などにより、材片相互の位置を正確に保ち、
できるだけ部材に溶接歪みが生じないように保持すること。
(5) 溶接は無理のない姿勢で行うようにし、材片相互の位置は正確に保ち、溶接欠陥や歪みの
生じない方法で施工すること。
(6) 突合せ、部分溶込みおよびすみ肉溶接の場合は、溶接部の端部に適切なエンドタブを用い
ること。ただし、回し溶接または、その他の適切な方法によって溶接端部の欠陥を防止でき
る場合は、この限りでない。
(7) エンドタブは、原則として母材および溶接部に損傷を与えないように切断すること。
(8) 本溶接にあたっては、必要により予熱を行うこと。
(9) 完全溶込み継手を被覆アーク溶接で行う場合の裏溶接は、健全な溶接部に達するまで裏は
つりをした後溶接を行うこと。
(10) 材片集成後は特に湿気を避け、サブマージアーク溶接は原則としてその日のうちに行う
こと。
(11)被覆アーク溶接のビード端部および棒継部は、クレーターを十分埋めるよう施工すること。
(12) サブマージアーク溶接は、原則として部材の中途でアークを切らないこと。
(13) サブマージアーク溶接から被覆アーク溶接に移る場合は、サブマージアーク溶接の50mm
以上はつり取ってから被覆アーク溶接に移ること。
(14) 溶接作業場の温度が0℃以下の場合には、原則として溶接を行わないこと。
(15) 降雨雪などで母材が濡れているとき、または、強風のときは溶接作業を行ってはならな
い。ただし、十分な処置がとられ支障のない場合は、この限りではない。
12-8-4 溶接工の資格
溶接工は次の技量を有する者とし、技量証明書その他必要な資料を届出て、承諾を受けるこ
と。
(1)被覆アーク溶接JIS Z 3801(手溶接技術検定における試験方法及び判定基準)
(2)炭酸ガスシールドアーク溶接JIS Z 3841(半自動溶接技術検定における試験方法及び判
定基準)
(3) スタッド溶接はスタッド協会が実施する「スタッド溶接工技術検定試験」に合格した者。
12-8-5 溶接材料の管理
(1) 被覆の剥脱および汚損のある溶接棒、ならびに湿潤状態の溶接棒は、使用しないこと。
(2) 溶接棒およびフラックスは、使用に先立ち所定の温度で所要時間乾燥炉に保持し、十分
な乾燥状態で使用すること。
12-8-6 溶接部の品質
(1) 溶接部には、割れ、溶込み不足、有害なスラグの巻き込み、有害なブローホール、オー
バーラップ、クレーターおよび径 0.3 ㎜以上のピットがないこと。ただし、防錆上好まし
くない場合には、ピットを補修すること。溶接部の品質の許容差は、表12-2 によること。
(2) スタッド溶接の品質の判定は、「10-10-13 スタッド溶接」によること。

12-8-7 溶接部の検査は、次によること。
(1) 溶接部の品質が「12-8-6 溶接部の品質」を満足していることを確認すること。
(2) 溶接部の非破壊検査は、次によること。
① 試験の方法については、あらかじめ計画書を届出て、承諾を受けること。
② 原則として放射線透過試験で行うものとし、試験方法、技術者、および合否の判定は、次
によるものとする。
ア) 放射線透過試験は、JIS Z 3104 によること。
イ) 放射線透過試験に従事する技術者は、JIS Z 2305(ISO 9712)(非破壊試験-技術者の資
格及び認証)による放射線透過試験部門のうち、撮影はレベル2 の有資格者、合否の判定
は原則としてレベル3 の有資格者が行うものとする。
ウ)放射線透過試験は、製作の場合「10-10-14 溶接部の試験および検査(2)③」による
こと。なお、建方の場合「11-8-11 溶接部の品質と検査(2)ア)」によること。
③ 超音波探傷試験は、「10-10-14 溶接部の試験および検査(2)①」によること。なお、
放射線透過試験が公衆災害防止上困難な場合、超音波探傷試験により行ってもよい。
ア) 超音波探傷試験は、JIS Z 3060(鋼溶接部の超音波探傷試験方法)、およびJIS Z
3070(鋼溶接部の超音波自動探傷方法)によること。
イ) 超音波探傷試験に従事する技術者は、JIS Z 2305(ISO 9712)(非破壊試験-技術者の資
格及び認証)による超音波探傷試験部門のうち、探傷装置の操作はレベル2 の有資格者、
合否の判定は原則としてレベル3 の有資格者が行うものとする。
ウ)超音波探傷試験は、製作の場合「10-10-14 溶接部の試験および検査(2)⑤」によ
ること。なお、建方の場合、「11-8-11 溶接部の品質と検査(2)ア)」によること。
12-8-8 溶接によって生じた歪みの処理
溶接によって生じた歪みは、所定の精度を確保できない場合は機械的方法または加熱方法
(900℃以下)で矯正すること。ただし、この場合溶接部および部材を傷つけないこと。
12-8-9 吊金具、架設用治具の取付
吊金具、架設用治具などを取付ける場合溶接部は、本溶接と同等以上とすること。
12-8-10 欠陥の補修方法
溶接部等に発生した欠陥の種類とその補修方法は、「10-11 欠陥の補修方法」によること。
12-9 鋳造品
(1) 鋳造品は、原則として押湯をつけて製造し、品質が均一で、す、割れ、歪みなど有害な欠
陥がないこと。
(2) 鋳造品の製造には、原則として乾燥砂形を使用すること。
(3) 鋳造品の鋳放し部の厚さの許容差は、-5%とすること。
(4) 鋳造品は、原則として鋳造応力除去のための焼鈍を行うこと。

12-10 部材の製作寸法許容差
単体の部材製作寸法の許容差は、表12-3 によること。

12-11 仮組立
仮組立を行う箇所は、設計図書で指定する。仮組立を指定された場合は、次により仮組立
を行うものとする。
(1) 仮組立の精度は、表12-4 によること。

2) 仮組立は、強固な基礎の上に、各部材が無応力状態となるよう組立てること。
(3) 仮組立の順序は、原則として現場の架設方法を考慮して行うこと。
12-12 表面処理工および表面補助処理工
(1) 表面処理工は、「10-16 表面処理工」によること。
(2) 表面補助処理工は、「10-17 表面補助処理工」によること。
(3) 溶融亜鉛めっきは、SRS 02(橋梁のめっき要領)によること。
12-13 組立符号
(1) 現場で組立を要する鋼構造物は、組立符号を見易い箇所に塗料で記入すること。ただし、
塗装してはならない部材では、荷札をつけるなどの方法によること。
(2) 1 個の重量が、5t 以上の部材は、重量および重心位置を見易い箇所に記入すること。
(3) 組立符号および重心位置を記入する塗料は、その上に塗る塗料に有害なものを用いないこ
と。
12-14 荷造りおよび運搬
(1) 荷造り、運搬および取卸しにあたっては、部材に損傷を与えないこと。
(2) ボルト類は、品質を損ねないように箱に納め、箱には品名、種類、規格等を表示すること。
12-15 建方
12-15-1 部材の組立
(1) 部材の取扱いは、次によること。
ア) 取扱いの際部材を損傷しないこと。
イ) 組立順序を考慮すること。
ウ) 部材を直接地上に置かないこと。
(2) 建方に際して曲がり、捩れなどが生ずるおそれのある部材には、必要な補強をすること。
(3) 仮締めボルトは、本接合のボルトと同軸径の普通ボルトとし、締付け本数はその部分のボ
ルト数の25%以上、かつ、2 本以上とすること。
(4) 組立完了後、形状、寸法を測定し、その結果を提出すること。ただし、軽微な工事の場合
は承諾を得て省略することができる。
(5)やむを得ず部材に削孔または溶接の必要があるときは、あらかじめ承諾を受けること。なお、
現場溶接を行なう場合には、「12-8 溶接」に準じること。
12-15-2 架設
(1) 架設部材は、所定の位置に据付けること。
(2) 部材の移動にあたっては、部材に損傷を与えないこと。
(3) 特に指定された場合は、所定の時間に架設を完了するものとし、その順序、方法および機
械器具類はあらかじめ承諾を受けること。
12-15-3 支承およびアンカーボルト
(1) 支承およびアンカーボルトは、所定の位置に据付けること。
(2) 下部構造との固定およびアンカーボルトの埋込みは、無収縮モルタルを使用すること。
12-15-4 建方精度
(1) 柱の現場建方における管理許容値は、表12-4 の柱の倒れの許容値(e≦H/1000 かつ e≦
10mm)を基本とすること。
(2) 表12-4 の柱の倒れの管理許容値を満足できない場合には、限界許容値(e≦H/700 かつ
e≦15mm)によること。
12-16 施工記録
次に示す資料は、すみやかに報告すること。
(1) 原寸検査報告書
(2) 材料検査報告書
(3) 仮組立報告書または部材検査報告書
(4) 放射線透過試験報告書または超音波探傷試験報告書
(5) 高力ボルト検査報告書
(6) 高力ボルト締付検査報告書
(7) 塗料検査報告書
(8) 塗装検査報告書または溶融亜鉛めっき検査報告書
(9) 組立符号図
(10) 荷造り明細書
(11) その他必要な検査報告書

12-17 工事写真
次の項目が確認できる写真を報告すること。
〔工場製作〕
(1) 原寸検査状況
(2) 材料検査状況
(3) 溶接検査状況
(4) 仮組立検査状況または部材検査状況(工場で本組立を行う場合には、組立検査状況を追加す
る。)
(5) 非破壊検査状況
(6) 高力ボルト締付け検査状況
(7) 塗装の購入量および使用量に関する検査状況
(8) 塗装検査状況(溶融亜鉛めっきを行う場合は、めっき検査状況)
(9) 外注購入品に対する検査状況
(10) 施工試験を行った場合には、施工試験状況(曲げ加工施工試験、溶接施工試験)
(11) 各作業段階ごとの状況(一次締めおよび本締めのボルト締付け、溶接、架設)
〔現場建方〕
(1) 現場組立後の検査状況
(2) 高力ボルト締付け検査状況
(3) 現場溶接検査状況
(4) 非破壊検査状況
(5) 塗料の購入量および使用量に関する検査状況
(6) 塗装検査状況
(7) 施工試験を行った場合には、施工試験状況
(8) 各作業段階ごとの状況(一次締めおよび本締めのボルト締付け、溶接、架設)

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