プレストレストコンクリート工

9-1 適用範囲
プレストレストコンクリート工事は、本章によるほか「8 無筋および鉄筋コンクリート工」を適
用する。
9-2 施工計画書
プレストレストコンクリートの施工にあたっては、次の事項を記載した施工計画書をあらかじめ
届出て承諾を受けること。
(1) 施工体制
(2) 作業工程
(3) 主要材料
(4) 定着具、接続具
(5) 桁製作(型枠、支保工、桁製作ベース、製作養生、緊張計画、PCグラウト)
(6) 運搬・架設
(7) 支承
(8) 機械器具類
(9) 品質管理計画(品質管理値、品質管理(検測)項目・箇所・方法・記録様式、工事記録、工事
写真等)
(10) その他
9-3 施工管理者
(1) プレストレストコンクリートの施工にあたっては、技術士(プレストレストコンクリートを専
門とする者)、プレストレストコンクリート技士のいずれかの資格と2 年以上のプレストレスト
コンクリート工事の実務経験を有する者、または、これと同等の技術と経験を有する者を、施工
管理者として現場に常駐させること。
(2) 施工管理者は、PC鋼材配置の検測、プレストレッシング、PCグラウト工、架設、支承工に
おいては、当該施工箇所にて品質管理にあたること。
9-4 材料
9-4-1 PC鋼材
(1) PC鋼材は、原則として次の品質規格を満足するものを使用すること。
・PC鋼線、PC鋼より線、異形PC鋼線 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥ JIS G 3536
・PC鋼棒、異形PC鋼棒 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ JIS G 3109
(2) 樹脂被覆(塗装)PC鋼材を用いる場合は、被覆(塗装)を行う前の品質が上記の規格を満足す
るとともに、被覆(塗装)を行った後の品質がJIS G 3536 に規定されている機械的性質および表
9-1 の品質基準を満たすものを用いること。また、樹脂被覆(塗装)PC鋼材を用いる場合の定
着具は、使用する樹脂被覆(塗装)PC鋼材と組合せた際の表9-1 に示す定着効率の性能を、第
三者機関において証明されたもの、または監督員等の立会により確認したものを、あらかじめ届
出て承諾を受けること。
表9-1 樹脂被覆(塗装)PC鋼材および定着具の試験方法と品質基準
9-4-2 シース
シースは、取扱中あるいはコンクリート打込みのとき、容易に変形しない物であって、その継目、
合せ目等からセメントペーストが入り込まない物とする。なお、シースは原則としてプラスティック
製を用いることとし、強度および付着性能等の品質をあらかじめ付属書9-1 に示す試験方法により
確認されたものを用いること。
9-4-3 貯蔵
PC鋼材、シース、定着具等は、倉庫内に貯蔵する等、適切な方法により有害な腐食、損傷、変
形、汚れ等を生じさせないこと。
9-5 施工
9-5-1 型枠
型枠は、プレストレッシングの際にコンクリート部材を拘束させない構造とする。
9-5-2 支保工
支保工は、プレストレッシングによるコンクリート部材の変形および反力の移動を阻害させない
とともに支点沈下を生じさせない構造とする。
試験項目 規格値 試験方法
塗料
密着性 ます目の残存率が90%以上 塗膜基盤目試験 JIS K 5600
硬度
塗膜に傷が生じてはならない
(>H)
塗膜硬度試験 JIS K 5600
樹脂被覆
(塗装)
鋼材
外観
塗膜が均一で、たれ、突起、
異物付着などの著しいものが
あってはならない
外観目視による -
ピンホール ピンホールがないこと ピンホール試験 JSCE-E 512
塗膜厚
(PC鋼材メーカーの規格値
による)
塗膜厚試験
ASTM A882/A
882M
耐衝撃性
激しんが直接当った部分の周
囲で塗膜の破砕、割れ、剥離
および浮きなどが生じてはな
らない
耐衝撃性試験 JIS K 5600
曲げ加工性 異常なく良好であること 曲げ試験
ASTM A882/A
882M
耐食性 腐食なし(1000 時間) 耐食性試験 JIS Z 2371
リラクセーション
試験
8.0%以下(1000 時間)
リラクセーション
試験
JIS G 3536
定着具 定着性能確認試験
付着のない状態での静的引張
試験で、定着具の定着効率
は、緊張用の規格引張荷重の
95%以上
PC工法の定着具
および接続具の
性能試験
JSCE-E 503
9-5-3 PC鋼材の配置
(1) 主ケーブルの上縁定着は、原則として行わないこと。
(2) 定着具背面のコンクリートの補強方法は、定着具の構造、および配置間隔等に応じた所定の構
造寸法とし、所定の鉄筋補強を行うこと。
(3) 定着具は、支圧面と緊張材とが垂直となるように取付けること。
(4) 接続具は、緊張材の引張る方向を考慮して、引張側に対してシース内で十分移動出来る余裕が
あること。
(5) シース、定着具および接続具は、これを所定の位置および方向に正しく配置し、検測を行い、
検測結果を組立検測記録により報告すること。
なお、コンクリート打込み前に、現地において施工確認を受けることを原則とする。
施工確認の結果、疑義が生じた場合は、前回の施工確認以降にやむを得ず施工確認を省略したも
のに対し、品質を証明する資料を届出て承諾を受けること。
(注)「組立検測記録」とは、シース、定着具および接続具の位置、方向、固定方法等について、
設計図書と照合した結果を併せて記載した資料をいう。
(6) シースおよびPC鋼材配置後は、原則として鉄筋等の電弧溶接は行わないこと。
9-5-4 プレストレッシング
(1) プレストレッシングにあたっては、あらかじめ緊張計画書を届出て承諾を受けること。
(注)「緊張計画書」とは、緊張方法、緊張計算の仮定、摩擦係数および見掛けのヤング係数の測
定値、緊張計算等を記載した資料をいう。
(2) プレストレスを与える際のコンクリート強度は、次によること。
ア) 定着具付近のコンクリート強度は、PC定着工法により定められた値以上であること。
イ) コンクリート部材の圧縮強度は、プレストレスを与えた直後、部材に発生する最大圧縮応力
度の1.7 倍以上の強度であること。
(3) 引張装置の圧力計は、これを用いる前にキャリブレーションを行ったものを使用すること。
また、使用中に衝撃を与えたときには再度キャリブレーションを実施すること。
(4) プレストレッシング作業中は、緊張順序、緊張力、伸び、セット量等についての管理および記
録をすること。
なお、監督員から指示された場合は、現地において施工確認を受けること。
(5) 荷重の示度とPC鋼材の伸び量の測定値との関係が適正でない場合等異常を生じた場合は、直
ちに作業を中止して、原因を調査し、その処置についてすみやかに報告すること。
(6) プレストレッシング終了後、すみやかに、プレストレッシング作業および緊張管理結果を緊張
管理報告書により報告すること。
(注)「緊張管理報告書」とは、緊張順序、緊張力、伸び、セット量等について記載した資料をい
う。
9-5-5 PCグラウト工
(1) PCグラウトは、所要の強度を有し、PC鋼材に有害な影響を与えないもので、良好な流動性
を有しブリーディングが生じないものとする。なお、PCグラウトの品質は表9-2 を標準とする。
(2) PCグラウトの配合は、温度条件等の施工条件に応じて試し練りを行い、所要の品質が得られ
る配合を定め、あらかじめ届出て承諾を受けること。
なお、使用する混和剤はGF1720 と同等品以上を標準とする。
表9-2 PCグラウトの品質
水セメント

コンシステンシー
JP 漏斗使用
膨張率
ブリーデ
ィング率
塩化物含有量 圧縮強度
(%)
流下時間
(秒)
練り混ぜ後の経過時間が
20 時間以上
(%)
(%) (kg/m3)
28 日
(N/mm2)
45 以下 14~23 -0.5~0 0
普通ポルトランドセメントに混
和剤を添加したグラウト
材:C×0.08%以下(C:
単位セメント量(kg/m3))
上記以外のグラウト材:
0.3 以下
30 以上
(注1)新しい材料等で十分充填されることを確認した場合は、これによらなくてよい。
(注2)膨張率は、20 時間で測定する。この供試体は28 日以上室内に静置して異常膨張のないこと
を確認する。
(注3)コンシステンシーをJA 漏斗、J14 漏斗により測定する場合は別途基準値を定めること。
(3) グラウトポンプは、PCグラウトを徐々に、また空気が混入しないように注入できるものを使
用すること。
(4) PCグラウトの施工は、次によること。
ア) PCグラウトは、プレストレッシング終了後、すみやかに施工すること。
イ) PCグラウトの注入に先立ちシース内は、水を通して洗浄した後、これを十分排出すること。
ウ) PCグラウトは、グラウトポンプに入れる前に適当なふるいを通すこと。
エ) 注入は、徐々に行うものとし、流出口から出てくるグラウトの濃度と流動性が、注入口から
注入されるグラウトのそれと同等の濃度、かつ安定するまで中断せずに行うこと。
オ) PCグラウトの注入にあたっては、注入口や排出口の付近に空気やブリーディング水を残留
させないこと。
カ)PC鋼より線を束ねたマルチケーブルを使用する場合、PCグラウト注入にあたっては、グラ
ウトキャップを使用すること。グラウト硬化後は、グラウトキャップを取り外し、グラウトさ
れていることを確認すること。
(5) 寒中におけるPCグラウト工の施工を行う場合は、注入前にダクト周辺の温度を5℃以上に保ち、
注入時のグラウトの温度は10~25℃を標準とし、注入後はグラウトの温度を少なくとも5 日間
5℃以上に保つこと。
(6) PCグラウトの品質管理にあたっては、表9-3 に示す試験を行うこと。
なお、監督員から指示された場合は、現地において施工確認を受けること。
(7) PCグラウトの品質管理試験終了後は、すみやかに、試験結果をPCグラウトの品質管理記録
により報告すること。
(8) PCグラウト施工中は、PCグラウトの品質、注入順序、注入圧力等についての管理および記
録をすること。
なお、監督員から指示された場合は、現地において施工確認を受けること。
(9) PCグラウトの施工終了後は、すみやかに、施工結果をPCグラウト施工報告書により報告す
ること。
(注)「PCグラウト施工報告書」とは、材料名、配合、ミキサー、ポンプの仕様、注入日、天候、
気温、シース1 本ごとの注入圧力(グラウトキャップの未使用時)、PCグラウトの品質管理試験
結果を記載した資料をいう。
表9-3 PCグラウトの品質管理
試験項目 採取箇所 試験方法 試験の標準頻度
コンシステンシー タンク内 JSCE-F 531 1.午前、午後の第一バ
ッチで各1 回
2.配合、またはミキサ
ーを変更したときの
第一バッチで1 回
膨張率
ブリーディング率
タンク内および流出口
JSCE-F 532
JSCE-F 533
圧縮強度 タンク内 JSCE-G 531 1 日1 回
塩化物含有量 タンク内 付属書9-2 による 1 日1 回
9-5-6 運搬、移動架設
桁の運搬、移動架設にあたっては、桁に生じる応力と変形について安全であることを確認すると
ともに、桁に損傷を与えないこと。
9-5-7 後埋めの施工および養生
(1) PC鋼材定着部に使用する後埋め材料は、アルカリシリカ反応に対して無害な骨材であり、表8
-6 に示した品質を満足する無収縮モルタルまたは無収縮コンクリートを用いること。
(2) 後埋めの施工にあたっては、打継面のチッピング、清掃を行い、十分に吸水させた後、後埋め材
料を充填して、本体のコンクリートと良く密着するよう締固めること。また、少なくとも3 日間
5℃以上に保ち、湿潤養生すること。
(3) やむを得ず主ケーブルを上縁定着する場合には、上縁定着部の後埋めには樹脂系モルタルを使
用し、その仕上げ高は、周辺の本体コンクリート面よりも幾分高く仕上げること。
9-5-8 防水工
(1) プレストレストコンクリート桁の防水工は、PC鋼材の腐食防止を目的として次の箇所に施工す
ること。
ア) プレキャスト桁の中埋めと本体コンクリートとの打継目部分
イ) 床版横締め鋼材の定着部後埋め
ウ) 主ケーブルの桁端定着部後埋め
エ) 鉛直締め鋼棒の定着部後埋め
オ) やむを得ず設けた主ケーブルの上縁定着部後埋め
(2) 防水工の施工にあたり、材料、構造、施工方法を定め、あらかじめ施工計画書により承諾を受
けること。
(3) 防水工は、工事が完成後、しゅん功検査までに、受注者の責任に帰する品質保証期間を保証書
により報告すること。
(4) 防水に対する品質保証期間は10 年以上とし、品質保証期間の起算日は工事目的物の引渡し日と
する。
9-6 施工の許容差・基準
9-6-1 PC鋼材の配置
PC鋼材、シースの組立許容差・基準は、表9-4 を標準とする。
表9-4 PC鋼材、シース、定着具の組立許容差・基準の標準
検測項目 許容差・基準
PC鋼材本数 数量が設計図書通りであること。
シース配置誤差
鉛直方向
桁高の1/200 以下
(桁高が1m 未満の場合は5mm 以下とする。)
水平方向
20mm 以下
(スパン中央、支点部は10mm 以下とする。)
定着具の配置誤差
鉛直方向 5mm 以下
水平方向 10mm 以下
9-6-2 PCグラウトの品質管理
PCグラウトの品質管理試験の許容差・基準の標準は、表9-2 による。
9-7 施工記録
次の資料を届出または報告すること。
なお、届出を行う資料については承諾を受けるものとする。
(1) PC鋼材の規格証明書(報告)
(2) シース、定着具、接続具の組立検測記録(報告)
(3) 緊張管理報告書(報告)
(4) PCグラウトの品質管理記録(報告)
(5) PCグラウト施工報告書(報告)
※コンクリート工等については「8 無筋および鉄筋コンクリート工」によること。
9-8 工事写真
次の項目が確認できる写真を報告すること。
(1) シース、定着具、接続具の組立検測状況(報告)
(2) PC鋼材、シース、定着具の配置状況(報告)
(3) 緊張管理状況(報告)
(4) PCグラウトの品質管理状況(報告)
※コンクリート工等については「8 無筋および鉄筋コンクリート工」によること。

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