塗装工

13-1 適用範囲
新設の塗装工事に適用する。ここでいう新設の塗装工事には、運搬または架設工事等により
生じた塗膜損傷部の補修(以下、「補修塗装」という)を含む。
13-2 施工計画書
塗装の施工にあたっては、次の事項を記載した施工計画書をあらかじめ届出て、承諾を受け
ること。また、補修塗装を行う場合も同様に、次の事項のうち必要なものを記載した補修計画
書をあらかじめ届出て、承諾を受けること。
(1) 塗料(規格、塗料名および銘柄、試験成績表、製造者名等)
(2) 素地調整(ブラスト、動力工具等の方法)
(3) 塗装(塗装各層の工程、塗料の標準使用量・希釈率・塗装間隔、塗装の方法(吹付け、
はけ塗り、ローラー塗り等)、)、
(4) 品質管理計画(施工管理者、塗装作業者、品質管理項目(塗膜厚管理等注)、品質管理値、
箇所・方法・記録様式、工事記録、工事写真等)
(5) 養生(運搬および保管中の塗膜保護方法等)
(6) 工程
(7) その他
注)J-1、BMU1-2、L-2、J-2、LN-2、JECO-2 に適用する。
13-3 施工管理者
塗装の施工に関し十分な専門知識を有し、2 年以上の塗装の施工に関する実務経験を有する
施工管理者を現場に常駐させること。
13-4 塗装系の種類
構造物新設時の塗装系は、設計図で指定する場合を除き、構造物に期待する塗膜耐久性及び
形状等を考慮して表13-1 によること。また、一般構造物に適用する塗装系の詳細については
表13-2、無塗装構造物に適用する塗装系の詳細については表13-4 のとおりである。
なお、表13-2、表13-4 に掲載のない塗装系、もしくは塗装によらない防食方法注2 を使用
する場合は、環境適合性や耐久性を考慮したものとし、工程・塗料名・標準使用量・区分・塗
装間隔をあらかじめ届出て、承諾を受けること。
注1)この章は、以下の文献を翻案したものである。
鋼構造物塗装設計施工指針(公益財団法人 鉄道総合技術研究所、2013 年12 月発行)
注2)例として、フッ素樹脂塗料を用いた塗装系や、金属溶射などがある。

(注)1.耐久性区分
短期仕様:短期間使用を目的とした工事桁や定期交換部材などに期待される一般環境で
5 年程度の使用に耐える
中期仕様:中期間使用を目的とした工事桁や定期交換部材、又は定期的塗替えの構造物
などに期待される一般環境で15 年程度の使用に耐える
長期仕様:長期間使用を目的とする鉄桁等鋼構造物などに期待される一般環境で15 年
以上の使用に耐える
(注)2.塗装系の数字
-1:新設時の塗装系で、現場で中・上塗りを行うもの
-2:新設時の塗装系で、工場で上塗りまで行うもの
-3:添接部の塗装系

注1:塗装系BMU1-1 の第3 層、塗装系BMU1-2 の第2 層は、塗り重ねるポリウレタン樹脂塗料上塗の隠ぺい力不足等
の不具合とならないように、上塗りの色選定に際して、適切な色の指定等の配慮が必要となる。
注2:厚膜型エポキシ樹脂ジンクリッチペイントの上に直接第2 層目の厚膜型エポキシ樹脂系塗料下塗を塗装したとき
に、あわの発生などの不具合が懸念される場合には、ミストコートを塗装すること。
注3:無機ジンクリッチプライマー仕上げで、現場塗装までにさび発生が懸念される腐食性環境に適用する場合は、工
場塗装のL-2 を用いること。
注4:塗装系BMU 及び塗装系L の厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料、塗装系J 及び塗装系JECO の厚膜型エポキシ樹脂系
塗料下塗及びポリウレタン樹脂塗料用中塗を気温10℃以下で塗装する場合には、同・低温用を用いることとし、
塗装間隔の下限値の目安は表13-3 によること。なお、上限値は20℃の場合と同一とする。
備考1:塗装系L-2 で景観性を考慮しない場合には、上塗り塗料の厚膜型ポリウレタン樹脂塗料上塗を厚膜型変性エポ
キシ樹脂系塗料上塗に代えてもよい。
備考2:H:時間、D:日、M:月を示す。

物の箱桁内面は無塗装、BMU1 を用いる場合はBMU1-2(上塗り塗装を省略)を用いる。
注2:気温10℃以下で塗装する場合には、低温用塗料を用いることとし、塗装間隔の下限値の目安は表13-3 による
こと。なお、上限値は20℃の場合と同一とする。
注3:加工工程上、無機ジンクリッチプライマーを塗装した鋼板(ショップ鋼板)を用いている。このため、表面に白
さびが発生することがある。この場合には、白さびを十分に除去する。
備考:H:時間、D:日を示す。

注1:一般外面に塗装系BSU を適用した場合は、添接部の塗装には塗装系BSU-3 を適用することとする。
注2:除錆度-3 とは、ISO8501-1 の標準写真と対照し、C St3 以上であることをいう。なお、鋼構造物塗装設計施工
指針(鉄道総研、2005)の塗膜劣化状態及びケレン程度見本」によっても良い。
注3:BMU1-3 及びL-3 の上塗り塗装は、一般外面の塗装に合わせること。
注4:一般外面に塗装系BSU 以外を適用した場合、箱型の桁・箱桁部材内部の添接部表面には塗装系WW-3 を適用する
こと。
注5:厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料、厚膜型エポキシ樹脂系塗料下塗及びポリウレタン樹脂塗料用中塗を10℃以下
で塗装する場合には、同・低温用を用いることとし、塗装間隔の下限値の目安は表13-3 によること。なお、上
限値は20℃の場合と同一とする。
注6:同一塗料を塗り重ねる場合は、多少色を変えること。
注7:無溶剤型変性エポキシ樹脂塗料の塗装工事は、塗装作業時の気温10℃~30℃で行うこと。
備考:H:時間、D:日、M:月を示す。

13-5 素地調整
(1) BSU 以外の塗装系を用いた場合、一次素地調整として原板ブラスト処理を行い、無機ジン
クリッチプライマーを塗装した鋼材を用いること。また、二次素地調整として製品ブラスト
処理を行い、鋼材表面の無機ジンクリッチプライマー、さび、その他の塗装に有害な物質を
除去し、鋼素地が十分に表れるまで素地調整(除錆度-1 注1)を行うこと。
(2) 塗装系BSU の場合は、一次素地調整として原板ブラスト処理を行い、エッチングプライマ
ーを塗装した鋼材を用いること。二次素地調整として、さびの発生している箇所および溶接、
溶断、加熱矯正によるエッチングプライマー塗膜の損傷部は部分ブラストにより十分な素地
調整(除錆度-2 注2)を行い、エッチングプライマーを塗装すること。
(3)塗装系BSU の場合で、一次素地調整を行った鋼板を用いない場合は、圧延鋼板のまま加工
し、ブロックとなった後、塗装直前にブラスト法により、さび・黒皮その他の塗装に有害な
物質を除去し、素地が十分に露出されるまで素地調整(除錆度-2 注2)を行い、エッチング
プライマーを塗装しなければならない。
(4)補修塗装および箱桁内面で一次素地調整を行った鋼板の場合は、小さな損傷部に対しては、
動力工具、手工具による素地調整を行ってもよい。
(5) 現場における素地調整は、塗膜表面に付着した砂塵、ごみ等を十分に除去し、必要な場合
は手工具、動力工具等を用いて面あらしを行うこと。
(6)素地調整の程度は、あらかじめ届出て、承諾を受けること。
注1:除錆度-1 とは、ISO 8501-1 の標準写真と対照し、B Sa2 1/2 以上であることをいう。なお、鋼構造
物塗装設計施工指針(鉄道総研、2013)の「塗膜劣化状態及びケレン程度見本」によっても良い。
注2:除錆度-2 とは、ISO 8501-1 の標準写真と対照し、B Sa2 以上であることをいう。なお、鋼構造物塗
装設計施工指針(鉄道総研、2013)の「塗膜劣化状態及びケレン程度見本」によっても良い。
13-6 ブラスト作業
ブラスト作業は次の要領で行うこと。
(1) 原則として屋内で施工し、相対湿度80%以上のときはブラスト作業を行わないこと。また、
作業直前・作業中及び作業後塗装するまでの間、直接雨・露にさらされないように注意する
こと。
(2) 所定の除錆度と表面あらさが得られるように、研掃材の粒度、ブラスト条件(空気圧、投
射量、投射時間、ノズル口径など)を調整すること。
(3) 鋼材表面は、あらかじめ油脂、水分、スパッタ、スラグなどの付着物を除去しておくこと。
(4) ブラスト後は、表面のブラストダストや研掃材残滓を十分に除去すること。
13-7 塗料の規格
塗料は原則として表13-6 に示す規格品を使用すること。

13-8 塗装一般
(1) 素地調整終了後、3 時間以内に塗装作業を行うこと。
(2) 使用塗料は、塗装方法および塗装時の気温などによって適正な粘度に調整すること。希釈
材を添加する場合は、添加量を必要最小限とし、正確に秤量して添加すること。なお、希
釈剤および希釈率の制限は表13-7 によるものとする。ただし、無溶剤型変性エポキシ樹
脂塗料は、希釈剤を使用してはならない。
(3) 各層の塗装間隔は、温度、湿度等を考慮し、適切な間隔時間を遵守すること。また、塗重
ねは、下地塗膜が指触法による半硬化乾燥であることを確認のうえ行うこと。
(4) エアレススプレー塗りは、塗膜厚が均一になるように施工すること。また、狭い構造部分、
鋼材端部、ボルト頭部等スプレー塗りが困難な場合は、はけ塗りで先行塗装しておくこと。
(5) はけ塗りは、著しいはけ目や塗りむらのないよう塗膜厚が均一になるように施工すること。
(6) 塗面は平滑で、色、艶が指定のものと同一程度であること。
(7) 塗装作業時の気温・湿度が表13-8 に示す制限値を超える場合は塗装作業を行わないこと。
(8) 被塗物が表13-9 に示す禁止事項の状態の場合は、塗装作業を行わないこと。ただし、表
中に示した処置をとる場合は、この限りではない。
(9) 現場搬入時および架設後には、塗膜損傷(運搬途中に生じたものを含む)等の外観につい
て検査し、不具合がある場合には速やかに監督員に報告すること。

13-9 補修塗装
工場塗装の最終塗装が終わった塗膜に、運搬または架設工事等により損傷を生じた場合には、
以下により補修塗装を行うこと。
(1) 塗膜の損傷程度を表13-10 のとおり分類し、各損傷程度に応じて素地調整を行うこと。
(2) 工場で下塗りまで塗装した場合は表13-11、上塗りまで塗装した場合は表13-12 に示し
た塗装系を適用し、補修塗装を行うこと。
(3) 塗料の標準使用量、シンナー希釈率の制限および塗装間隔は表13-13 による。

注1:製造会社の指示値がある場合はそれにしたがう。
注2:厚膜型変性エポキシ樹脂系塗料、厚膜型エポキシ樹脂系塗料下塗およびポリウレタン樹脂塗料用中塗を気温
10℃以下で塗装する場合には、同・低温用を用いる。
注3:厚膜型変性エポキシ樹脂ジンクリッチペイントを2 回塗り重ねる場合の塗装間隔は1H~7D(1 層目は1 日に2 回
塗ってもよい)とする。
備考1: H:時間、D:日、M:月を示す。
13-10 塗装の表示
塗装終了後は、適用された塗装系等が確認できるように、指定の位置に土木構造物に関する
実施細目(規程)および新幹線土木構造物に関する実施細目(規程)に規定されている塗装表
示を表示すること。
13-11 施工記録
塗装終了後、すみやかに次の資料を報告すること。また、補修塗装を行った場合も同様の
資料を報告すること。
(1) 塗料検査報告書(塗料の品質、規格証明書類、塗料の購入量に関する資料)
(2) 塗装検査報告書(素地調整および塗装各層の記録写真、塗料の使用量に関する資料、塗装
作業施工管理記録、塗膜厚管理等、その他必要な検査資料)
13-12 塗膜厚管理
(1)添接部(接触面)の厚膜型無機ジンクリッチペイントの標準塗膜厚は75μm とし塗膜厚許容
値は、60~90μm とする。
(2)ガラスフレーク塗料の塗膜厚は、500μm/回とする。
(3)その他塗装系は表13-14 よる。
(4)塗膜厚の測定方法は、付属書13-1 塗装の塗膜厚管理による。

13-13 工事写真
次の項目が確認できる写真を報告すること。
(1) 塗料の購入量および使用量に関する検査状況
(2) 塗装検査状況
(3) 補修塗装前後の状況(補修塗装を行った場合のみ)
(4) 各作業段階ごとの状況(素地調整の確認、各層ごとの塗装)

 

 

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